MUJI BUSINESS CAMP WEEK - MUJIの『働く』を知る1週間 - 2020年12月15日(火) キャリアは作れる。後悔しないように生きる働き方とは。

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2020年12月14日(月)~17日(木)の4日間、良品計画では様々なテーマについて社員が語るイベント「MUJI BUSINESS CAMP WEEK-MUJIの『働く』を知る1週間-」を開催。“MUJIのキャリア”というテーマの中では、若手時代に圧倒的成長を遂げ、現在は部長として活躍している堀口さんに語っていただきます。
*進行役:澤部 佳奈(人事総務部 組織・人材開発課)

イベント登壇者

  • 堀口 健太

    堀口 健太

    2006年新卒入社
    執行役員 経営企画部 部長(兼)経理財務部 管掌

    2006年入社。無印良品 マイカル桑名にて勤務後、2007年に無印良品 岐阜高島屋の店長に就任。2010年からは現在の中国大陸事業部や海外事業部欧州担当イタリア担当にて活躍。2019年に営業本部店舗サポート部部長に着任し、2020年より企画室付室長として勤務。

※組織名称は2021年2月1日時点のもので掲載しています。

1やりたいことに、年齢やキャリアは関係ない

澤部:

堀口さん、今日はよろしくお願いします。さっそく本題に入る前に、まずは簡単に今のお仕事について教えていただけますか。

堀口:

堀口 健太

はい。私は2006年に入社をして、今は企画室というところにいます。企画室というのは、デザインや商品開発をしているわけではなく、「経営企画」というものをやっている部署です。各事業の業績管理や予算の策定といった、いわゆるコーポレート部門で仕事をしています。

澤部:

ありがとうございます。今日は良品計画で働く環境や、キャリアに対する堀口さんの考えについて語っていただきたいと思っています。

堀口:

堀口 健太

はい。今日伝えたいことは、良品計画は前向きなスタンスが最も大切で、それがあればチャレンジさせてくれる会社だということです。学歴や年齢、それまでのキャリアはあまり関係ありません。働く1人ひとりが自分なりの目標を持って前向きに行動することを賞賛してくれる会社だと思います。今日は良品計画での僕自身の経験を振り返りながら、こうしとけばよかったなという、自分なりの後悔について少し触れたいと思います。そしてその中から、私自身が見出した仕事をする上での価値観を共有していきます。

図:年齢差?

堀口:

堀口 健太

どっちが仕事をする上で優位か

突然ですが、このスライドを見て「どちらが仕事をする上で優位か」と聞かれたら皆さんはどう思いますか。これは僕の考えですが、最初の「1歳の人と高校3年生」というのは多分高校3年生のほうが優秀だと思いますね。2つ目の「中学1年生と高校3年生」は若干微妙なところかなと思いますが、一般的には頭の中も体力も高校3年生のほうが優位かなと思います。ではこれが社会人、例えば政治家の方や芸能人の方と私との比較になるとどうでしょうか。仕事という面で評価すると、なかなか判断がつかない微妙なところだと思うんですね。

何が言いたかったかというと、「年齢差とは何か」ということです。身体的な成長が止まると1年の差というのは子供の頃ほど大きくはないと思います。つまり僕が思う社会人では、身体的成長が止まれば年齢差による能力差は無く、対等な立場にあるという事です。例えば社会人3年目と社会人5年目。どっちが正しくてどっちが間違っているかなんて正直わからないです。経験の差だけかもしれません。今はコロナもあり世の中は不確実です。だからこそ、1人ひとりが力を発揮していく事が会社にとっても組織にとっても、何をやるにしても必要なことだと思います。年齢の差よりも「自分自身がどう思うのか」という信念を持って仕事をしていく事が何よりも大切だと思っています。この前提をもって、私自身のキャリアをご紹介したいと思います。

澤部:

よろしくお願いします。

図:堀口 健太 プロフィール

堀口:

堀口 健太

入社当時の目標は、同期の中で1番最初に店長になること

今は色々仕事をやらせていただいていますが、入社した時に何か能力があったわけではないと思っています。語学力も特になく…いわゆる“意識の低い”大学生でした。しかし、会社に入ってからはとにかく一生懸命やりました。同期が20数名いたのですが、「最初に店長になりたい」という目標を掲げ、自分なりに努力をしました。その結果、目標通り1年半という期間で店長になりました。その後1年間現場で店長をやりましたが、次第にマネジメントのスキルを高めたいと思い、数店舗をとりまとめるブロック店長という職位になりました。これも入社2年半でなったのですが、店長になるのに2年ぐらいかかる方もいるので比較的速い段階で複数店舗のマネジメントを経験できました。この時に会社からミッションとしてもらったのは、自分の店舗を改装することと、自分の管轄の地域に新しい店舗を2店舗出すというもの。これが大変でした。新しい店舗を立ち上げることや改装をするというのは自分だけではできなくて、本部の方など色々な人を巻き込んで仕事をしていかなくてはいけません。入社して2年半の自分は本部に知り合いがほとんどいなかったのですが、その中で自分の思いをしっかり伝えてチーム全体を引っ張っていくというのは苦労しました。現場では店長が主役なので、本部の方が指示を出してくれるわけではなく、「店長はどうしたい?」というところが求められます。当然年齢が上の人もたくさんいましたので、どんな相手にも臆せずに対応していく、ということがここで学べたことかなと思います。

その後は、突然ですが中国へ行きました。今は300店舗近くの無印良品が中国にありますが、当時はまだ12店舗。中国事業がこれから成長するタイミングだったのもあり、社内での公募がありました。当時の僕はブロック店長として新店立ち上げと店舗改装を終えたタイミングで、正直これ以上この職位をやっていても、自分自身成長するかなと思うと、ちょっと疑問がありました。だからこそ違うことをしたいなと思い、受験を決めました。結果合格することができて、中国に赴任することになります。私自身中国語は話せなかったのですが、異動直後は、2名の駐在員が居たのですが、少しして北京駐在は、私1人になり、加えて周りに日本語が話せる人も1人しかいませんでした。ですので事務所に掛かってくる電話の対応もすべてやりました。「ニーハオ」ぐらいしか話せないのに電話に出ては助けを求める…という生活でした。当時まだ26歳でしたが、仕事の厳しさを知ったという点で勉強になりましたね。

堀口:

堀口 健太

「新しい所に行きたい」「事業の責任者をやりたい」という想い

次に異動するなら小さくてもいいので事業の責任者をやりたい、あわよくば新規国をやりたいと思っていました。そして2015年にはイタリアへ配属されることになります。当時のイタリアはそれほどうまくいってなかったのですが、何とか軌道に乗せるための一員として行ってくださいというミッションでした。当時から上司とコミュニケーションをよくとっていて、「新しい所に行きたい」とか「事業の責任者をやりたい」と言っていたので、イタリア行きは上司が自分の意見を汲んで抜擢してくれたのだと思っています。ここでも言語の壁にぶち当たりました。ですが子会社の社長という立場を任されていたので経営者として意思決定をしていかなければなりません。中国での経験や日本の店舗での経験を活かし、色々なことをやりました。その結果、完全な黒字にはなりませんでしたが最終的にはかなり回復した状態で次の方に渡すことができました。

その後、部長として2019年に9年ぶりに日本に帰ってきました。日本の事業を再成長させるために社内ではギアチェンジをしようと言っていた時期です。今まではイタリア・中国といった日本に比べると小さい事業ばかりだったのですが、突然国内400店舗程の管理をする立場に回ったのでスケール感に慣れるのが大変でした。自分なりに日本のことを知らないからこそできることもあると思って、色々やりました。店舗を支える体制を整える為に、人事制度の改訂やパートナー社員・アルバイトスタッフの制度変更、教育プログラムの開発や育成などに取組みました。そして2020年の9月に企画室に異動になりました。入社以来一貫して営業をやってきたので、ここで管理部門に異動するというのは非常に驚きましたが、日々勉強しながら業務を行っています。 長くなりましたが、これが私のキャリアです。

2「本気でやっている」と胸を張って言える生き方か

澤部:

ありがとうございます。これまで色々な挑戦をしてきている堀口さんですが、後悔していることもあるのだとか。

堀口:

堀口 健太

良い仕事をするためには、正しい課題設定が不可欠

そうですね。いくつかあって、1つ目は「正しく課題設定できていれば…」という後悔です。僕は高校野球をやっていてピッチャーとしてそれなりに期待されていました。だけど試合で良いプレイが出来ず、挫折したんですよね。当時の僕は、試合で良いプレイができなかった原因をプレッシャーのせいにしていました。投げる技術ではなくて精神的なものに課題設定をしていたということです。しかし全部終わって冷静になって考えると、シンプルに技術が足りなかっただけだと気が付きました。何の技術かというと、同じ事を何回もする技術です。この力が足りなかったことが挫折した真の課題だと、数年後に気が付きました。何が言いたいかというと、物事を前に進める時には正しく課題設定をしないとだめだということです。特にリーダーであればある程、間違った課題を設定してみんなを動かしてしまうと部下は非常に疲れてしまいます。これはとてもリスクなので、仕事をする上で正しい課題設定をするということはものすごく大切だと思っています。

2つ目は、「時間は有限だけど平等」というお話です。単純ですが、自分自身の能力を高めるために、英語や会計といったものを大学時代にしっかり勉強しておけば良かったなと思います。時間は有限ですが平等です。どんな人も平等で持っている唯一の物かもしれません。その時間をしっかり使っておけば良かったと後悔しています。

3つ目は「当事者意識」について。中国での経験は貴重でしたが、振り返れば自分は「経営者」では無かったと思っています。もちろん自分に課されたタスクをやるということは実行していましたが、“組織”を作る立場の人間として、もっと俯瞰して当事者意識を持って経営者的観点で物事を考えていれば…と後悔しています。組織を作る意味というのは、自分1人では出来ない事をするためです。今澤部さんが横にいますが、僕と部署が全く違うからと言って、僕が人事に興味を持たなくていいかと言うとそういう事じゃない。お互いがお互いの事を考えながら、どうするのがベストかと言うのをみんなで考えることで、組織は良くなっていくのだと思っています。これも後悔から学んだ普遍的な価値です。

堀口:

堀口 健太

お互いの事を考えながら、どうするのがベストか考える

4つ目は「決断力」について。イタリアでの後悔の話です。当時僕は2店舗出店したのですが、1店舗は比較的成功したものの、もう1店舗は失敗でした。何があったのかというと、出店地を決める際に2つの候補地がありましたが、「ベスト」と考えていた方へジャッジが遅くて決め切れず、他社に取られてしまいました。経営者は色々な判断をしますが、コスト削減よりもお金を使う時の方が難しいと思っています。何かを決める、というのはロジカルに考えるだけでは上手くいきません。成功するかどうか、最後までわからないのですね。もちろん決断するまでの準備等も大切ですが、決断力はとても大切だと思います。

堀口:

堀口 健太

「現在を本気で生きること」が大切

ここまでが僕が後悔から学んだ価値観です。今に限らず時代がいつでも不透明で、将来は誰にも正確には予想出来ません。だからこそ、自分自身がどう思うかということがものすごく大切です。僕の様に後悔しないためにも、みなさんには今を一生懸命生きてほしいと思います。

最後になりますが、僕がこの会社に居続ける理由にもなっている、とても好きな言葉があります。「どこで、誰と、何をするか。その3つのうち2つ、自分が自信を持ってこうだと言えるものが今の会社にあるのであれば、それは残った方がいい」という言葉です。シンプルですが、今でもキャリアを考える上での軸になっています。僕自身は、もう一度外国に行って大きな会社の経営者をやりたいと思っているので、まだまだ良品計画で働き続けたいと思っていますね。

澤部:

堀口さん、ありがとうございました。最後に、参加してくれている学生のみなさんへメッセージをお願いします。

堀口:

堀口 健太

コロナもあって就職活動が心配な事もあるとは思いますが、まずは皆さんご自身がどうしたいかということを考え抜いてほしいと思っています。ある意味様々な人と会えて良い機会だと思いますので、楽しんでいただければいいなと思います。

澤部:

堀口さん、本当にありがとうございました。