PROJECT/04:商品開発プロジェクト すべては“感じ良いくらし”のために 部署連携で広がる商品開発の可能性 PROJECT/04:商品開発プロジェクト すべては“感じ良いくらし”のために 部署連携で広がる商品開発の可能性

お客様にとって、本当に必要なものを、必要なかたちでつくる。この考え方が無印良品の商品開発の基本です。 新商品の開発プロジェクトを通して、わたしたちのものづくりに対する考え方をお伝えします。

MEMBER

  • 宮尾 弘子

    宮尾 弘子 生活雑貨部 H&B担当課長

  • 大箸 万里子

    大箸 万里子 生活雑貨部 H&B担当

  • 中川 実

    中川 実 生活雑貨部 エレクトロニクス・アウトドア担当 課長代行

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STORY/01

“自分自身をマーケティングする”視点

 H&B(ヘルス&ビューティ)とエレクトロニクス(家電)──普段はあまり接点のない2つの部署を結びつけたのが、2015年秋に始まった新商品の歯ブラシ開発プロジェクトでした。H&B担当課長の宮尾が当時を振り返ります。

「無印良品の商品開発の基本に“自分自身をマーケティングする”というものがあります。他社がやっているから、世の中で流行っているから、ということではなく、自分のくらしを振り返ってみて、ストレスになっていることは何か、どうしたらもっと便利になるかを考えて商品開発を行う考え方です。その一環で、洗面台周りを見直してみたら、いろいろな課題や、それに対して無印良品が手をつけられていない部分が見えてきました。そこで、“よりすっきりとして気持ちが良く、使いやすい洗面用品をつくるにはどうすればいいか”という視点で、新しい商品群の開発プロジェクトが始まりました」

STORY/01 宮尾弘子

 このプロジェクトの柱のひとつが、年齢や性別を問わずあらゆる人が毎日手にする「歯ブラシ」のリニューアルでした。すでに無印良品の定番アイテムでしたが、もっとお客様の期待に応えられるものをつくるべく、一から見直すことになったのです。

 このH&Bチームの動きに注目していた人物が、同じ生活雑貨部内にいました。家電開発を担当していたMDの中川です。
「洗面台周りをトータルに考えるという話を聞いたとき、自分のセンサーに反応する部分がありました。何か新しいものが生まれる予感がしましたし、そこでは自分の専門知識がきっと役に立つはずだと。中でも、歯ブラシというアイテムに可能性を感じ、エレクトロニクスでも何かできることがあるんじゃないかと考えたんです」

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STORY/02

“感じ良さ”を求めて繰り返した試作

 こうして始まった歯ブラシのリニューアルプロジェクト。協議の結果、H&B担当とエレクトロニクス担当で協力し、新しく電動歯ブラシをつくる方向性が固まりました。しかし、電動歯ブラシはすでにさまざまな製品が市場に出回っています。そこで最初に取り組んだのが、「あたりまえを疑う」ことでした。たとえば、一般的な電動歯ブラシは、専用の歯ブラシを使用しなければならないものがほとんどです。

 そこに気づいたとき、目指すべきかたちが具体化しました。すなわち、手磨きにも使える普通の歯ブラシを、そのまま挿せる電動歯ブラシをつくること。「この発想にいたったことが今回のターニングポイントでした」と、宮尾は振り返ります。

 歯ブラシ本体のデザインは、MDの大箸が中心となって進めていました。その具体的なポイントについて、大箸は次のように語ります。
「じつは近年の歯ブラシは、歯自体を磨くというよりも、歯間ケアという役割が求められています。それに合う毛先や、どんな人にも持ちやすいシンプルな持ち手、フィット感など、細かい部分をデザイナーや協力会社さんと検証していきました」

STORY/02 中川実

 モックと呼ばれる模型を作成して形状を詰めていくと同時に、さまざまな毛先を試す作業を重ね、仕様をブラッシュアップ。持ち手の色は、外観の美しさだけでなく、家族で色違いを使用する場合を考えたり、カラーユニバーサルデザインの観点で識別しやすいことにも配慮しました。

 一方、電動部分の開発を担当した中川が苦心したのは、歯ブラシ本体に、いかに効率的に振動を伝えるかという点でした。加えて、無印良品の商品としての佇まいを表現することも求められました。
「歯ブラシがしっかり固定されていることが前提となるので、挿し込む穴の精度をどこまで上げられるかがカギとなりました。一方で、コンパクトかつ美しい佇まいを両立するデザイン性もおろそかにはできません。道具としての機能性と、感じ良さを生み出すデザイン性、そのどちらもかなえるものを目指し、何度も試行錯誤を繰り返しました」

 最終的に、歯ブラシを試作した回数は、通常の商品開発の倍以上という10回前後、試用したモニターは50人超、開発期間は1年以上にわたりました。検討を重ねるうちに、さまざまなタイプの歯ブラシをつくるアイデアも出ましたが、最終的なラインナップは2つに集約。やさしい使用感で細かく磨ける極細タイプと、コシがある毛質を持ちしっかり磨けるタイプという2種類各4色の歯ブラシと、それらを挿して使える電動歯ブラシ本体が完成しました。

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STORY/03

新たな発想を生み出す部署連携の輪

 無印良品の商品開発は、商品ができ上がれば終わりではありません。ゴールは、お客様の目に留まり、実際に手に取っていただくこと。今回のプロジェクトでは、部署連携のすそ野を開発チームだけでなく、店舗での見せ方やプロモーションを担当する部署にまで広げました。通常は店内の離れた売場にあるH&B、家電、ハウスウェアの商品から、洗面周りの商品を抜き出した売場をつくることで、お客様が見やすく、くらしを想像しやすい環境を構築。宣伝担当にプレゼンをして、Webや雑誌などで取り上げてもらうようにも働きかけました。中川は、「自分たちで手作りの什器までつくって、“こんなふうに陳列すればより魅力的に見える”と提案しながら、セクションを超えて売場をつくっていったのは、すごく良い経験でした」と振り返ります。

 こうして2017年3月に発売された新ラインナップは大きな反響を呼び、ヒット商品となりました。その要因について大箸は、
「歯ブラシ単体でも強い商品になると確信していましたが、家電のチームが入ってくれたことで、一台あれば家族みんなで使えて、旅行や外出先にも持っていけるという価値が加わりました。これまでの歯ブラシの使い方を広げたことが、お客様に受け入れていただいた理由ではないでしょうか」と語ります。

 その後、歯間ケア用のデンタルフロス、舌用クリーナーといった新商品も開発、「オーラルケア」という新たなカテゴリーにまで発展しています。

STORY/03 大箸万里子

 成功裏に終わった歯ブラシの再開発プロジェクトを受け、H&Bチームと家電の両チームは新たにアロマ分野の共同開発にも着手。今ではトラベル用品や衣料品、食品部門などとも頻繁に意見交換が行われ、ほかの部署でも垣根を越えて開発をしていこうという動きが盛んになってきています。ひとつのテーマのもとで、異なる発想をぶつけあう──そのなかで化学反応が起こり、これまでになかった新しい商品が生まれるのです。

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