PROJECT/03:無印良品の商品開発 お客様の声に寄り添い感じ良いくらしを提案するものづくり PROJECT/03:無印良品の商品開発 お客様の声に寄り添い感じ良いくらしを提案するものづくり

無印良品が大切にしているのは、本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくること。お客様の声を集め商品を企画するところから、実際にお客様の手に商品が届くまでを考える、商品開発の仕事をご紹介します。

MEMBER

  • 宮尾 弘子

    稲富 由里子 生活雑貨部 ハウスウェア担当
    MD開発

※組織名称・掲載内容は取材当時のものです

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STORY/01

くらしを見つめることで生まれたヒット商品

 2018年4月に発売した「ポリプロピレン保存容器になるバルブ付弁当箱」と「ポリプロピレンスクリューキャップ丸型弁当箱」。つくり置きや余ったおかずを入れれば保存容器になり、冷蔵庫から取り出してそのまま弁当箱として持ち運べるという手軽さから、多くのお客様に受け入れられる商品となりました。

 開発を担当したのは、生活雑貨部 ハウスウェアMDの稲富。それまで無印良品では、木製の弁当箱やアルミの弁当箱を取り揃えていましたが、多様化するくらしのニーズに応えられるようにラインナップを見直そうと考えたのが、開発のきっかけでした。

STORY/01 稲富由里子

「忙しい現代人の生活の中で、つくり置きのおかずや晩ご飯の残りなどを使ったお弁当が主流になってきていると感じていました。また、電子レンジや冷凍にも対応できるものの方が、多様化しているライフスタイルに合い、汎用性が高いのではないかとも考えていました。そこで目を向けたのが、軽くて温度変化に強いポリプロピレンという素材です。新しい樹脂製の弁当箱の開発によって、毎日のお弁当づくりを手助けし、お客様の食生活をサポートできるのではないかと考え、商品開発をスタートさせました」

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生活者の声を起点に始める無印良品のものづくり

 稲富ら開発チームがまず取り組んだのは、ウェブサイトやお客様室、店舗に寄せられるお客様からのリアルな声を吸い上げること。5年ほど前まで販売していた樹脂製のお弁当箱に対して、お客様から再販を望む声が多く寄せられていたこともあり、さまざまな意見や要望が集まりました。また、並行しておこなったのが、良品計画の社員のお弁当箱を見に行くことでした。一番身近な生活者である社員が、どのようなお弁当箱を使っていて、何を入れているのかをリサーチしたのです。

「それによってわかったのは、自分でお弁当をつくって持ってきて、お昼ご飯を楽しんでいる人が多かったことです。スープを持ってきている人、副菜だけ家から持ってきておにぎりを買う人。無印良品のバルブ付き保存容器をお弁当箱として使っている人もいました。本当に多彩なお弁当の楽しみ方があったので、新しい商品も幅広い使い方に応えられるものにしなければと思いました」

STORY/02 稲富由里子

 使う人の姿が見えてきたら、次はサイズや機能などの具体的な検討に入ります。おかず用の小さめサイズ、ご飯用の細長いタイプなど複数のサイズをつくることで、朝、お弁当箱に詰め替える手間をなくし、そのまま持ち出せるようにしました。また、においや液漏れを防ぐために、既存商品で使われていた「バルブ」や「スクリューキャップ」の技術を採用することにしました。

「既存商品に使われていたバルブをそのまま使用できれば、新しく部品をつくる必要がないので効率的なのですが、このお弁当箱の蓋のサイズには大きすぎたため、バルブのサイズを少し小さくすることに。また、洗いやすいように底に丸みをもたせたり、蓋を開けやすいように上蓋のサイズを少し大きくしたりと、使うときのことを考えて細部を詰めていきました」

 こうして、お客様の声と、いち生活者としての自分たちの視点に、既存の商品開発で積み重ねてきた経験を組み合わせながら、少しずつ商品をかたちづくっていきました。

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必要な機能から見えてくる、新しいかたち

 商品を良くするためのさまざまな機能を検討したあとは、そのなかから本当に必要なものを絞り込みます。「これもほしい」「あれもほしい」と色々な声を取り入れていくと、製品としていびつなものができあがるので、欠かせない作業です。

 なかでも意見が分かれたのは「ポリプロピレンスクリューキャップ丸型弁当箱」のサイズです。「スープを入れるのであればもっと容量がほしい」「持ち運びや収納を考えるとあまり高さは出してほしくない」「径が大きいと、女性の手では開けづらい」。三者三様の声が集まるなかで最終的に決め手になったのは、「開発にあたって最初に目指したものは何か」という、起点に立ち返ることだったと稲富はいいます。

STORY/03 稲富由里子

「この商品は、保存容器としても使えて、おかずやご飯を入れてそのまま持ち出せるお弁当箱というコンセプトから生まれました。改めてその視点に立つと、冷蔵庫に入れたときに収納しやすいサイズか、組み合わせて使ったときに高さや幅が統一されているかが重要ではないかと思ったんです」

 結果的に、モジュールの統一性を考慮し、必要最低限の容量は確保しつつも、なるべく高さは出さずに女性の手でも開けやすい径のサイズに着地しました。このような“足して、引く”作業を何度も重ね、新しいお弁当箱が完成したのは2018年4月のこと。開発スタートから約1年半が経過していました。

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STORY/04

「伝える」ところまで考える、ものづくり

 無印良品のものづくりは、商品ができたら終わりではありません。商品の魅力を深く知る稲富たち開発チームが、VMD課と協力しつつ、店舗でのディスプレイやプロモーション方法などの素案を考えるのです。
※VMD課=商品を見やすく、買いやすい売場をつくる(Visual Merchandising)業務を担う課

「食べ物を入れるものなので、お客様が実際に商品を触って、使いやすさを想像していただける売場をつくることを目指しました。売場にただ並べるだけではなく、サンプル品を置くことで、軽さを体感したり、サイズの組み合わせを試したりしてもらえるようにしました」

 また、発売のちょうど2か月後に、この新しいお弁当箱を含む、保存容器全体のプロモーションが予定されていました。そこで稲富は、プロモーション時により良いレイアウトを実現するために、社内の展示会でテストディスプレイを実施。店舗スタッフから、「このようなPOPを用意してほしい」「店頭ではこのディスプレイは難しそうだから、もう少し工夫してほしい」などのフィードバックをもらうことで、実店舗で展開するプランの精度を高めていったのです。

STORY/04 稲富由里子

 今回の「ポリプロピレン保存容器になるバルブ付弁当箱」と「ポリプロピレンスクリューキャップ丸型弁当箱」の開発プロジェクトを振り返って、稲富は次のように語ります。

「お弁当をつくる生活って、とても豊かな時間を与えてくれると思います。季節感や食材の好み、体調などを考えて食材を揃え、食べたいものに調理し、おいしくいただく。私たちがつくったのはお弁当箱というものですが、その根底には、お客様それぞれの「感じ良いくらし」を支える存在でありたいという思いがあります。そうした意味では、お客様に製品を届ける最後のステップ=売場づくりにまで関われる良品計画の仕組みは、とてもやりがいを感じています」

ものづくりを通じて、くらしの提案を目指す、無印良品の商品開発。お客様の日常を豊かにする新たな“気づき”を探して、稲富たち開発チームの挑戦はまだ続きます。

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