PROJECT/03:海外店舗オープン 変わるものと、変わらないもの グローバル展開で深化する「MUJI」ブランド PROJECT/03:海外店舗オープン 変わるものと、変わらないもの グローバル展開で深化する「MUJI」ブランド

2017年12月1日、カナダ・バンクーバーにオープンしたMUJI Robson Street。海外での出店には、日本国内での店舗づくりとはまた違ったやりがいや難しさがあります。 世界へ広がるMUJIの現場について取材しました。

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  • 岡芹 尚吾

    岡芹 尚吾 欧米事業部 カナダ担当 営業課 課長

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基本は、すべて自分たちで

 無印良品の海外の総店舗数は、いまや日本国内の数を上回るほど。MUJIというブランドは、ヨーロッパ、北米、アジア、オセアニア、そして中東にまで広がっています。そして2017年12月1日、またひとつ新たな店舗が誕生しました。カナダ・バンクーバーにオープンしたMUJI Robson Streetです。2014年にトロントに初出店して以来、カナダで6店舗目、バンクーバーでは2店舗目となるこの店舗のオープンに向けて陣頭指揮を執ったのが、MUJI CANADA LIMITED副社長の岡芹でした。

 海外での出店はまず、候補地を探すことからはじまります。バンクーバーの目抜き通りであるRobson Streetは、有名ブランドも出店する一等地。地元の方はもちろん、旅行客もたくさん訪れるエリアで、以前から出店を願っていた場所でした。坪数にして409坪、アジア外の店舗としては最大となるこの店は、品揃えにおいてもサービスにおいても「This is MUJI」を体現する、カナダ西部の旗艦店となることが期待されていました。

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 「大変だが自分たちの意志を具現化できる」──それが、海外で新規店舗をオープンする際のやりがいだと岡芹はいいます。賃貸契約を終えると、展開アイテムをどうするか、どのような売場にするかなど、店舗の詳細を詰めていきます。日本であれば、店舗デザインや商品の見せ方などは本部の担当部署と連携しながら決定していくことができます。もちろん、海外でも本部のサポートを受けながら進めますが、時差もあり、絶えずコンタクトをとることは難しい状況でした。また、MUJI CANADA LIMITEDの従業員は、岡芹を含めて総勢16名。発展途上の会社はひとりが何役もこなさなければ急激な成長は実現できません。

 しかも、文化も価値観も違う海外では、日本の当り前が通用しないこともあり、店舗の工期の遅れもめずらしくありません。実際、今回も「建物自体が古かったこともあり、予想外の遅れが多発した」と岡芹は振り返ります。こうした作業と並行して、新たに採用した100人にもおよぶスタッフの教育と、オペレーションの構築も行わなければなりません。

 しかし今回、岡芹たちは強力な援軍を得ました。日本の店舗から派遣されてきた、選りすぐりの店長6名です。

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押しつけるのではなく、ともに考える

 海外においても、日本と同じ商品展開やオペレーションを実践する──それが無印良品の基本的な考え方です。つまり、最初から現地の特性に合わせるのではなく、日本のしくみを「スタンダード」として移植するのです。カナダでも「まずは日本でやっていることを指標として共有し、それでうまくいかないところはローカライズさせていく」スタンスをとっていました。

 例えば、日本の無印良品店舗には、ワーキングスケジュールというものがあります。各スタッフが、いつ、何を、どこで、どのように行うか、時間帯別に細かく落とし込んだ1日のスケジュールのことで、スタッフはこれに基づいて行動します。そうすることでムダが省かれ、業務の効率化が図られるわけです。ところが、日本では成果をあげていたこの方法が、海外ではなかなか根づかずにいました。

 さっそく日本から来た店長たちはスケジュールを作成しました。たとえば清掃作業なら、「どんな用具を使って、どこから、どれくらいの時間で……」というふうに、細かく分割し、スタッフに割り当てます。しかし、これが反発を招きました。現地スタッフには、「一方的に抑えつけられる」ととらえられたのです。

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「現地の感覚からすると、細分化されることで、仕事がすごく増える印象を受けたらしいのです。それに、“子どもじゃないんだから、そんなことは言われなくてもわかっている。どうしてそこまで指図されなければいけないんだ”という気持ちもあったようでした」

 そんな状況を救ったのは、岡芹のひとことでした。
「では、掃除を効率的に行うためには、どうしたらいいと思いますか?」
すると、じつは彼らなりに考えていたことがわかりました。要は、伝え方の違いだったのです。

「彼らは、納得できないときはちゃんと言ってくれる。それは逆にありがたいと思うようになりました。そのおかげで、『こういう伝え方をしたほうがいい』と、こちらもわかりますから。いちばん恐いのは、ボタンを掛け違ったまま進んでしまうこと。まずは相手の考えを聞くというやり方に変えたら、うまくいくようになりました」

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より強固なブランドを目指して

 遅れていた工事もなんとか間に合い、無事オープンを迎えた12月1日。開店前には100人ほどのお客様が列をつくりました。9月にバンクーバーの1号店が開店したときにはおよびませんでしたが、1号店はもともとアジア系の方が多く住む地域。2号店のエリアはそうではないことを考慮すれば、十分な手応えでした。

「爆発力はなかったけれど、その後も高い集客力をキープしているし、売上も想定以上。一過性ではない手応えと、MUJIへの期待を感じています。」と岡芹は振り返ります。
 「でも、それ以上に嬉しかったのが、単にMUJI CANADAの店舗がひとつ増えたというだけでなく、無印良品の新たなグローバルスタンダードづくりの第一歩を踏み出せたとこ。もちろん、日本のしくみがベースにはなりますが、そこに世界各国の文化や風土がぶつかり、化学反応がおこることで、より強固なグローバルスタンダードが抽出されていくのではと期待しています。そうした意味で、今回実施した日本の店長の海外研修制度は、非常に有意義かつ手応えを感じられるものでした。日本の第一線のスタッフは海外でも通用すること、ワーキングスケジュールの例のように、日本で生まれたしくみが海外でも評価されることなど、改めて自分たちの強みを確認できたことは大きかったです。逆に日本のスタッフたちも、今回の経験で得られたものも大きかったと思います。そうした有意義な交流の場に立ち会えたことが、何より嬉しかったですね」

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 MUJI CANADA LIMITEDでは、2018年もさらに新店舗の出店を加速させるほか、Robson Street以上の旗艦店を出店する計画や、未出店の地域にも進出していく計画が進んでいます。

「今回のプロジェクトは、カナダ国内にとどまらず、今後、MUJIをグローバルブランドとして展開していくうえでの、ひとつのモデルケースとなる、そんな手応えを感じています」

 まだまだはじまったばかり、とことわりながらも、岡芹は最後にそんな思いを語ってくれました。

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