PROJECT/02:オフィスリノベーション みんなで考えた、みんなの職場 PROJECT/02:オフィスリノベーション みんなで考えた、みんなの職場

2015年から2016年にかけて行われた本社のオフィスリノベーション。「感じ良いはたらく場」を社員自ら考え、設計し、試行錯誤したその一部始終をご紹介します。

MEMBER

  • 小川 恭平

    小川 恭平 当時:業務標準化委員会/現:東アジア事業部 中国担当 営業課長

  • 高梨 哲

    高梨 哲 人事総務部 総務課 課長

  • 林 高平

    林 高平 当時:無印良品 有楽町 インテリアアドバイザー/現:販売部 販売オペレーション課 インテリアアドバイザーマネージャー

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自分たちのことは、自分たちでしたい

「事業がどんどん大きくなっているのに、オフィスは古いまま。不便で働きにくい」—— はじまりは、海外事業部から総務課に届いた声でした。
 同様の意見は、実は他の部署からも聞こえていました。ここ数年、事業の拡大にともない本部オフィスに勤務する社員が増加。 しかしながら、本来連動すべき部署のフロアが離れていたり、また、建物自体の壁や床は長いこと張り替えなどのメンテナンスがされておらず、会社が提案している「感じ良いくらし」とはほど遠い状態だったのです。

 そこで総務課長の高梨が中心となり、ちょうど法人向けに開発が進んでいた商材を使って、まずは8階の海外事業部のフロアを改修しました。すると、それを見た他の部署から「うちもやってくれ」という要望が相次ぎました。高まる期待を受け、高梨を中心に全社的なリノベーションに向けての検討が始まりました。

STORY/01 高梨哲

一般的には、オフィス空間のプランニングや設計は外部のオフィスメーカーなどに依頼することが多く、実際、海外事業部のケースはそうしたやり方でした。しかし、考えてみれば、無印良品にはオフィス用途にも使える商材が揃っているだけでなく、空間を提案するインテリアアドバイザーをはじめとした多様な人材がいる。
「いっそのこと、自分たちでやってしまおう」
さっそく、業務標準化委員会にいた小川、有楽町店でインテリアアドバイザーを務めていた林らが集められ、さらに各部門の代表者も参加して、移転も含めたさまざまな可能性が話し合われました。

 そこでチームが出した答えは、現在のオフィスを、社員がほんとうに感じ良く働ける場になるよう、全フロア改装すること。構想を経営陣に提案すると、ゴーサインが下り、オフィスリノベーション・プロジェクトが正式にスタートしました。2015年9月のことでした。

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自分たちで気づき、改善できる余白を残す

 海外事業部のフロアをリノベーションする際、高梨が当初意図していたのは、海外のオフィスに見られるような、ガラスで仕切られた空間。レイアウトも決まり、いざ着工という段階になって、会長から「それはうちの風土に合わない。もっと、みんなが自由に行き来できるような開かれたオフィスにしないとダメだ」と再考を命じられました。

 結果、次に手掛けた6階フロアは、役員も社員も並列に並ぶ仕切りのないオフィスに。これを基本路線に、全社員を対象に詳細なアンケートを実施し、小川や林が直接各フロアに出向き、「不便なところはどこか?どうすれば良くなると思うか?」というヒアリングも繰り返しました。「各所で不満を感じながらも、どうにかしようという気持ちが起きなかったのは、その環境があたりまえになっていたから。でも、僕たちがヒアリングを行ったことで、『本当に変わるんだな』と、期待感が芽生えたようでした」と、小川は当時を振り返ります。

 集まった意見をもとに、林が中心となって図面を引き、1フロアずつ順番に改修がはじまりました。“よくこんな環境で仕事をしていたなと驚いた”という古いオフィスは、見違えるように進化。プロジェクトメンバー一同、「みんな喜んでくれるはずだ」と確信していました。

STORY/02 林高平

ところが、リノベーションを終えた「理想のオフィス」で働くスタッフの反応は、思いのほか薄いものでした。見た目はきれいになっても、肝心の働き方はほとんど変わっていない。そればかりか、期待が高まっていたゆえに「使いづらい」といったネガティブな反応もありました。

 その理由を考えて思い当たったのは、今回のリノベーションが実際に使う社員ではなく、他部署のプロジェクトメンバーから与えられたものだからということ。むしろ大切なのは、改善すべき点を自ら考え、“もっと良くしよう”という気持ちが生まれるような環境をつくることではないのか、と気がつきました。

 そのとき、目指すべきオフィスのかたちがはっきりと像を結びました。“完成させないオフィス”——つまり、自分たちで改善できる余白を残したオフィスです。以降、それがリノベーションのコンセプトとなりました。

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社員のスイッチが入る

 自分たちで発想し、自分たちでかたちにする──良品計画には、もともとそういう風土があると、高梨はいいます。オフィスの“箱”となる環境を変えたことで、社員たちのマインドに徐々にスイッチが入りました。当事者意識、主体性が芽生えたのです。

 そうした意識の変化について林は、「シェルフを変えたら、『収納用品が気になるから、それも変えたい』という意見が出てきた。収納用品を変えると、今度は『箱の中をきれいにしたい。何が入っているか印をつけ、その備品もまとめたい』と。小さいことだけど、ひとつ変えると、ひとつ気づきが生まれ、改善していこうという流れが生まれていきました」と振り返ります。

STORY/03 小川恭平

 小川が思い出すのは以下のようなエピソードです。
「書類をトラック何十台分も捨てたんですけど、そうしたら紙をできるだけ使わずに仕事をするためにはどうすればいいかと、みんなが考えるようになりました。すると、『こうやったら減らせる。でも、それにはこういうシステムが必要だ』と、より具体的になってきます。そんなふうに、オフィスリノベーションから派生的に働き方を考えるさまざまな委員会が発足していきました」
たとえば、「ゴミ捨て委員会」では、カップラーメンのつゆはどのように捨てるべきなのかを自治体の清掃局に問い合わせるなど、熱心に話し合う姿が見られたといいます。

 2016年10月、残っていた3階の改修を終え、プロジェクトは一応の完結を見ました。でも、“完成させないオフィス”ゆえ、「いまも少しずつ、でも着実に変わっている」と高梨はいいます。たとえば、フロアを移動する際に各部署の代表者で構成されたチームは「フロア環境委員会」という名称が付き、より良いオフィス環境を整えるべく、現在も活動を続けています。リノベーションを機に「働く環境について、自分たちが積極的に意見を出す風土が生まれてきた」と、高梨は笑みを見せます。

STORY/04 林高平

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自分たちが動けば会社は変わる

 あらためてプロジェクトを振り返って、小川は言います。
「大切なのはリノベーションのあと。そこで働く社員たちが自ら働き方を考え、改善を続けていくことだと思うんです。僕たちがやったのは、そのきっかけをつくることだった。普通ならプロに頼むところを、われわれ素人がやることに意味があったんだと思います。なぜなら、実際にこのオフィスで働いているのは自分たちだから。考えを言い合い、ときには怒りながら泣きながら(笑)、一緒にやることに意味があったんじゃないかと。それをやっていくのが良品計画っぽいし、みんなも“自分が動けば会社は変わるんだ”ということを感じたと思うんです」

 それに同意し、林は、さらにこう続けました。
「技術的にはプロに遠く及ばない。でも、現場の生々しい意見を参考に生かしていくことは、得意だと思う。誰もが違和感なくその場に入って意見を言える雰囲気が、良品計画にはあるんですよね。失敗しても、改善するチャンスを与えてくれる。そういう風土が会社に根づいている感じがします」

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林は現在、この経験をもとにオフィスづくりの事業化を進め、小川は上海に駐在して、こうしたオフィスづくりを中国にも広げるべく奮闘中。そして高梨は、いまだ各部署で続く小さな改善を、総務課長として支えています。彼らが端緒を開いた“完成させないオフィス”は、今日もどこかのフロアで新たな気づきを生んでいるはずです。

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