PROJECT/01:新しい取組みへの挑戦 つくる人と食べる人をつなぐ。地域に根ざした新たな「場」づくり PROJECT/01:新しい取組みへの挑戦 つくる人と食べる人をつなぐ。地域に根ざした新たな「場」づくり

2018年3月にリニューアルオープンした無印良品 イオンモール堺北花田は、“食”の専門売場を導入したこれまでにない形態の店舗です。オープンまでの道のりは、新しい店舗のあり方を追求する日々でした。

MEMBER

  • 松枝 展弘

    松枝 展弘 無印良品 イオンモール堺北花田 コミュニティマネージャー

※組織名称・掲載内容は取材当時のものです

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店づくりに答えはない

 いつでもどこでも買い物ができるネットショッピングの普及で、店舗のあり方が問われている現代。地域のお客様に足を運んでいただき、くらしの役に立つためには、どんな店舗をつくればいいのか。2017年の春、無印良品 イオンモール堺北花田の出店プロジェクトを担当することになった松枝は、各部署のメンバーとともに新しい店舗のかたちを模索していました。

 今までのように商業施設の中に出店するだけの店舗では厳しくなるだろうと考えた松枝は、もっと地域に根ざし、無印良品が主体となって「場」をつくっていく個性あふれる店舗を目指そうと決意します。そこで着目したのが、すべての人の生活に欠かせない「食」の要素でした。

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「ライフスタイルというある種ファッション的なものではなく、より生活そのものに密着した店舗をつくりたいと思いました。日々のくらしに必要な食を扱う店舗であれば、地域のお客様の役に立つことができますし、日常的に利用していただくことで、店舗とお客様とのつながりを深められるだろうと考えました」

 当然、無印良品で生鮮食品を大きく扱う店舗はありませんでした。つまり、食の分野では無印良品は素人です。まずは共同運営をするパートナー企業探しからプロジェクトはスタートしました。

「生産者がどんな想いで、どんな工夫をしているのか。食材の背景を消費者に伝えていくことをコンセプトとした店舗を一緒につくりませんかと提案しました。スーパーで売られている食品はパッケージ化されていて、生産者の姿が見えにくいという現状があります。それに対して、無印良品がこれまで取り組んできた“素のままを伝える”ことや“背景を伝える”という理念を食の分野でも展開し、つくる人と食べる人をつなぎたいと伝えました」

 こうして2017年の秋オープンまで半年を切ったなかで、ようやくパートナー企業が決まりました。これまでにない新しい店舗づくりがそこから具体的に動き始めたのです。

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市場のように、毎日の無印良品を

 パートナー企業の担当者と一緒にまず取り組んだのは、店舗で扱う食材をつくる生産者を探すことでした。プロジェクトメンバーが実際に生産者のもとを訪ね、どのように生産しているのかを丹念に取材するなかで、松枝自身も日本各地の食材の魅力を再発見する日々だったといいます。そしてそこには必ず、食材の品質やおいしさを支える生産者の努力やストーリーがありました。土の中から1本1本人の手で収穫される鮮度抜群のれんこん、質の良い飼料で大切に育てられたうま味たっぷりの牛肉——こういった自身が見聞きして知り得た食材の背景をお客様に伝え、生産者を身近に感じてもらうためにはどんな店舗にすればいいか、松枝たちはアイデアをふくらませていきました。

「食という領域で、無印良品らしさをどこまで貫けるかは意識しました。他企業と共同でお店をつくることは初めてでしたが、結果として食の素人としての無印良品の目線と、食のプロであるパートナー企業の目線が融合し、おもしろい化学反応を起こせたのではと思います」

 そうしてでき上がったのは、市場のように食材の素のままの魅力がひきたつ、毎日に欠かせない無印良品でした。見通しの良いフロアでは、素材そのものの匂いが香り立ち、野菜本来のビビッドな色が映え、実際に生産者が使っている農具が展示されている。そしてその調和を乱すことなく、無印良品の商品が溶け込んでいる。お客様の日々のくらしを支えるものが揃った、これまでの日本のスーパーにはない光景です。ライブキッチンや、店内の食材をつかってその場で調理して食べられるフードコートを設けるなど、対話が自然と生まれる仕掛けも随所に見られます。

STORY/02 清重知志

 いよいよオープンを迎える2018年3月20日。この全く新しいコンセプトの店舗は、地域のお客様に受け入れてもらえるだろうか——そんな松枝の不安はすぐに吹き飛びました。4300㎡を超える世界最大級の店舗に、予想をはるかに超える、店内に入りきれないほどの人が訪れたのです。

「オープン初日にたくさんのお客様が来てくださっているのを見たときは、本当にうれしかったです。今では週末に1日3万人のお客様が来店されることもあります。何度も来店してくださる方も多く、“日常に根ざした店舗”という考え方がまずは受け入れてもらえたと安堵しました。一方で、世界でここだけの、新しいかたちの無印良品ということに興味を持たれて、遠方や海外からお越しになる方もたくさんいらっしゃるようです」

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「おいしいってなんだ」

 オープンしてからも無印良品 イオンモール堺北花田では、「おいしいってなんだ」をテーマにして、つくる人と食べる人をつなぐ場としてさまざまな取り組みを実施しています。地域の企業や自治体、生産者と一緒に、店内で料理教室や食を知るワークショップなどのイベントを開催しているのもそのひとつです。イベントには毎回多くのお客様が訪れ、食を考える場としての認知も広まってきています。「オープンして半年以上経ちましたが、まだ店舗が完成したとは思いません。無印良品では食のプロジェクトは始まったばかり。これからやっていきたいことがたくさんあります」と松枝は語ります。

「今後考えていることの1つは、もっと生産地に入っていきたいということです。無印良品として、ものづくりから一緒に関わっていきたいと考えています。また、店舗からの情報発信もさらに充実させていくつもりです。自分たちで生産者を取材し、お客様に情報を届けることで、初めてわかることがたくさんあります。私たちスタッフ自身が日々のくらしの中でリアリティを持つことは、店舗をつくっていくうえでとても大事なこと。実体験で得た気づきをお客様に発信していきたいと考えています。これからの時代、人々が職業や肩書に囚われずマルチに楽しむことがテーマになっていくだろうと確信しています」

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 店舗からの情報発信の一環として、松枝は店舗がオープンする前からMUJI passportで積極的に情報を発信していました。オープン後には、その日に入荷した食材のお知らせやレシピの紹介、イベントの告知などの情報を毎日配信し、オープンから半年で店舗のフォロー数はすでに2万人以上に達しています。リアルな場の価値を発信するツールのひとつとして今後もMUJI passportを活用しつつ、地域のお客様とのコミュニケーションをさらに深めていきたいと考えています。

「イベントや商品のラインナップ、情報発信を含めて、店舗の編集はこれからもどんどん進化させていきます。店舗づくりに終わりはありません」

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無印良品をアップデートしていく

 イオンモール堺北花田のプロジェクトにおいて、食という新しい分野で無印良品らしさを追求している松枝は、今回の経験を通して気がついたことがあるといいます。

「無印良品ってすでに形ができあがっているように見えるけれど、実はアップデートできることがまだまだあるんです。そのことを今回のプロジェクトで実感しました。それに、世の中にもアップデートが必要なものがたくさんあります。無印良品として、世の中に対して何ができるかを考えることは私自身とても楽しいですし、これからも考え続けていきたいと思っています」

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 無印良品から世界に向けてのメッセージに「くりかえし原点、くりかえし未来」という言葉があります。原点に立ち戻って「無印良品らしさ」を考え続けることで、かたちのない未来をつくっていく——そのくりかえしが、これまでの無印良品を生み出してきました。イオンモール堺北花田のプロジェクトもそのひとつといえるでしょう。「感じ良いくらし」をつくる取り組みは、これからも続いていきます。

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