MUJI BUSINESS CAMP WEEK - MUJIの『働く』を知る1週間 - 2020年12月17日(木) 挑戦をするから失敗もする。そこから見える良品計画の人と事業の育て方とは。

  • #未経験×〇〇
  • #グローバル
  • #ビジネス

2020年12月14日(月)~17日(木)の4日間、良品計画では様々なテーマについて社員が語るイベント「MUJI BUSINESS CAMP WEEK-MUJIの『働く』を知る1週間-」を開催。“未経験×〇〇”というテーマの中では、良品計画中途入社後、未経験で海外の事業に携わった宝地戸さんに語っていただきます。
*進行役:澤部 佳奈(人事総務部 組織・人材開発課)

イベント登壇者

  • 宝地戸 健太

    宝地戸 健太

    2018年中途入社
    執行役員 海外事業部

    2018年入社。部長として人事総務部に着任後、2019年より執行役員として海外事業部の海外32か国、約300店舗の統括を担当。転職前は人事領域にて採用戦略の立案、人事制度や育成体制の改革などを手掛けてきた。

※組織名称は2021年2月1日時点のもので掲載しています。

1利益と思想、両輪を回すことで成長していきたい

澤部:

宝地戸さん、今日はよろしくお願いします。さっそく本題に入る前に、まずは簡単にこれまでの経歴について教えてください。

宝地戸:

宝地戸 健太

はい。私のキャリアですが、今の良品計画で3社目になります。前職では5年ほど小売業にいたのですが、2018年に良品計画に転職しました。色々やってきましたが、実はもともとは人事畑です。採用だけではなく人事制度を作ったり、人事部の責任者をしたりしていました。良品計画でも最初は人事の仕事をしていました。そこから海外の担当になり、今は営業側全体の責任者をしています。今日は「未経験」ということがテーマですが、海外事業全体の営業責任者をするというのは、当然私にとっても未経験の話だったので、私がなぜ海外を任せてもらえたのかということもお話しできればと思います。

澤部:

ありがとうございます。ちなみに良品計画への転職のきっかけは何だったのでしょうか。

宝地戸:

宝地戸 健太

「受け手に多くの選択肢を提供し、価値観の変化を誘発したい」

はい。新卒のときからずっと変わっていないのですが、私の働く軸には「受け手に多くの選択肢を提供し、それによって人の価値観の変化を誘発したい」というものがあります。話は遡りますが、私は大学4年生の時に留年しました。そのため就職活動は2回しているのですが、大学4年の時の就職活動と大学5年の時の就職活動で、やりたいことが180度変わったんですよね。その間に海外に行ったりしていたのですが、たった1年で自分の価値観ってすごく変わるんだなと実感しました。ということは、そういう若者たちっていっぱいいるんじゃないのかなって思ったんですよね。色々な情報や人との出会いとか、そういうものを与えるだけで人の価値観は変化して、その人の人生がより良くなることができるのかもしれないと考えまして、それを提供できる側の仕事を選ぼうと思いました。

図:MUJI入社理由(働く軸)2

宝地戸:

宝地戸 健太

事業領域が広いからこそ、より多くの価値を提供できる場所

ここからが大事です。それが20数年も経っているのに、良品計画に入ることでも変わらないっていうのはなぜなのか。それは、色々な社会人経験を経たりするなかで、軸の中に言葉が加わってきているのだと思います。一言で「小売」といっても色々な商材があります。ただ、良品計画は洋服も生活雑貨も食品も全部ある。ということは、色々な人たちに提供価値を与えることができると思ったのです。

澤部:

ありがとうございます。では本題の海外事業について、話をお伺いしたいと思います。

宝地戸:

宝地戸 健太

グローバル展開の仕方に垣間見える良品計画の特徴とは

はい。みなさんには2つのトピックスについて話したいと思っています。突然ですがみなさん、この数字が何を表しているかわかりますか。

図:何の数字でしょうか?

澤部:

ヨーロッパとアジアの人口比、売上比、店舗数…。参加しているみなさんからも色々なコメントが来ていますね。

宝地戸:

宝地戸 健太

正解は、良品計画とA社の比較です。32か国1,700億、という方が良品計画です。つまりA社と比べて良品計画の方が展開している国は多いけれど売上は少ない、というものです。不思議ですよね。しかしここに良品計画の思想が現れていると私は思っています。

図:MUJIが大事にしていること

宝地戸:

宝地戸 健太

経済合理性だけではなく、自分たちがやりたいこともやる

何かというと、良品計画の特徴の一つに、経済合理性だけではなく自分たちがやりたいことにもとことんこだわる、という特徴があります。もちろん売上や利益は大切ですが、それよりも生活者の役に立つというビジョンを実現しにいこうとする姿勢が強いのです。そのため先ほどのスライドは、海外に店舗を展開することを目的にするのではなく、あくまでもビジョンを追求した結果多くの店舗を海外に展開できている、という結果の数字だと思っています。

澤部:

なるほど。ちなみに海外の方はなぜ無印良品の商品を選んでくださっているのだと思いますか。

宝地戸:

宝地戸 健太

それは良品計画の商品の特徴が関係してくると思います。私たちは、人が生活するときに必要とするベーシックな商品を売っています。海外の人も国は違うけれど同じ人間。生活する環境は異なりますが、生活の必需品ってあんまり変わらないですよね。なので、私たちの商品の7割8割は日本で売っている物と同じ物を売っています。日本の方が無印良品の商品を選ぶ理由と海外の方が選ぶ理由は変わらないのだと私は思っています。

お客様に対してどういう商品をどういう形で提供したいか。どういう店舗を作りたいか。そういうところがしっかりしていないと海外では伝わらない、ということは海外で痛感したことです。みなさんの中でも「無印良品っていいな」と思ってくれている人が多いと思うのですが、その感覚とほぼ同じ感覚を海外でも提供できていると思います。例えば去年、スペインのバルセロナに行ったのですが、80歳くらいのおばあちゃん2人が無印良品の紙袋を提げて歩いてらっしゃる姿を目にして感動しました。私は中東も担当しているので砂漠の国に行ったりもしますが、白いターバンを巻いている人が同じように無印良品のショッピングバッグを手に歩いてくれていて、日本と同じ感覚で受け止めてくれているんだなと思いました。繰り返しにはなりますが、良品計画はこのように本当に良いものを届けたいというビジョンも利益も両方とも大事にしながら海外に展開している、ということです。

2挑戦しないと失敗もできない

図:この失敗事例からお伝えしたいこと(社風として)

宝地戸:

宝地戸 健太

失敗しても、挑戦することを肯定してくれる社風

失敗したときの対応に社風が表れていると思っています。まず1つ目は、当たり前ですけど誰かが責められるようなことは当然ありません。何よりも、失敗したけどやっぱり挑戦することはいい、素晴らしい、という空気感があります。そして2つ目。良品計画はちょっとだけビジョンを優先しがちなのかもしれません。ただこれは悪いことではないと思います。最後は、良品計画にあるものは思想と人だけということです。チャンスがあってやりたいという人には、基本的にはいろんな挑戦ができる環境ですし、海外事業が32か国あるうちで、おそらく30代半ばくらいで社長をやっている人間が2人くらいいます。30代、20代の途中から海外に出て行って複数国を経験して今海外事業の社長をやっている40代前半という人もいますし、若い人たちも海外の中でたくさん活躍してくれている、というように思います。本当に完璧な会社なんてありません。どこかで良い面もあるし悪い面もあります。だからこそ自分にフィットするかどうかということを大切にしてほしいですし、今の良品計画の話を聞いてやりたいことがマッチする人が少しでもいればいいなと思っています。

図:その他の私が思う「MUJIらしさ」

宝地戸:

宝地戸 健太

利益と思想の両方を実現していきたい

最後にこちらのスライドを紹介します。繰り返しになりますが、私が思う無印良品らしさはとにかくこれです。先ほどは「ビジョン」という言葉を使いましたが、これは「地域活性」や「街づくり」とも置き換えられます。こういったことと売上の両方を私たちは実現していきたいと思っています。どちらか一方だけではありません。売上をきちんといただくから地域活性も仕事もできるのです。それを本当に愚直に両方やろうとしているのです。

澤部:

ありがとうございます。海外で色んな経験をされていますが、その中で苦しかったことや辛かったことはありますか。

宝地戸:

宝地戸 健太

今まさにですが、コロナによるロックダウンの影響もありロンドンの社長とは頻繁にミーティングをしています。日本の夕方5時が向こうの朝9時なので、開口一番、おはようございますと始まるんですね。そんな中で当然現地のスタッフの雇用の話や在庫の話などひっきりなしに色々な話が出てきます。サポートするにも海を越えるので限界がありますし、大変だな、辛いなというふうに思います。ただそれを超えて、海外のお客様にも無印良品が受け止められている、受け入れていただいていることの喜びのほうがやっぱり数段上にくるかなと。仕事って苦しいことが多いです。ただそれを越える楽しさがあります。教科書的な答えになっちゃいましたが、本当にそう思っています。

澤部:

ありがとうございます。宝地戸さんは未経験で海外事業部に行かれたというお話がありましたが、なぜ良品計画は未経験の方にポジションや機会を与えるのでしょうか。

宝地戸:

宝地戸 健太

良品計画には思想と人しかない

そうですね。基本的には思想と人しかないってことを、本当にみんなが思っていると思います。ビジネスの知識や英語力よりも、その人自身の人格や想いを見てくれている会社だなと。僕自身が海外事業部にいったのも突然の出来事でした。英語ができたわけでもなかったので、なぜ僕なのか社長に聞いたことがありました。その時に言われたのが「宝地戸さんは基本的に物事をきちんと考えられて、本当に解くべき課題が何かということを考え、みんなとコミュニケーションができるから」ということ。有難いお言葉ですが、正直それを聞いたときに「え、それだけ?!」と思ったんですよね。当時は驚きました。しかし振り返ると、英語力云々ではなく、“僕だから”任せてくれた、ということだと思います。こんなふうに、すごくピュアに人に向き合ったり、事業に向き合ったり、無印良品に向き合いたいという人が良品計画には多いと思います。

澤部:

たしかにそういう特徴はあるかもしれませんね。宝地戸さんが学生時代にもっとやっておけば良かったなと思うことと、逆にこれはやっておいたから今に繋がって良かったなと思うことはありますか。

宝地戸:

宝地戸 健太

動かないと、自分の本当の気持ちに気づくこともできない

やってよかったことは、とにかく自分が興味関心を持ったことに全部手を出そうと思いやったことですかね。学生時代に友人から「行動は背後にある動機を強める」という言葉を教えてもらったのですが、僕はこの言葉がすごく好きです。動けば動くほど自分が何をやりたいのかという背後にある動機に気づく、という意味です。やってみてダメだったらやらなければいいだけです。とにかく一回やってみることが大切ということです。私はとにかく自分に自信がないところからスタートした学生生活だったので、留学含め色々やりました。今思うとやって良かったかなと思います。

やっておいたほうが良かったなというのは、語学です。私は勉強してこなかったので単位が足りず、1年生と一緒にスペイン語の授業を受けていました。しょうがない部分もありますが、やり切れないなあと。

澤部:

やってみて初めて気が付く自分の気持ちってありますよね。今後やってみたいことや目標などはありますか。

宝地戸:

宝地戸 健太

そうですね。目標と言えるのかどうかわかりませんが、良品計画を含め私自身これまでたくさんのことを経験させていただいたので、今は一周回って会社や店舗にたくさんのお客様が来てもっと大きくなっていくこと、それ自体が自分のモチベーションになっていると感じています。「大きくなる」とはどういうことかと言うと、売上や店舗数のことだけではありません。もちろんそれも大切ですが、それ以外にも様々なことにフォーカスをすれば、もっと色々なことができるので、何で貢献できるかを考え形にすることを楽しみにしていますね。良品計画は製造小売業なので、店舗の仕事もできるし、ものづくりの仕事もできるし、海外で経営側に回ることもできます。やりたいことを全て体現できるのです。そういう会社は他にもありますけども、高いレベルで価値を提供できる会社というのは、ありそうで無いなというように思います。そこが良品計画の強みです。私自身、人事や海外事業などをやらせてもらいましたが、この先もどんな仕事でもこの会社なら楽しめると思っています。それが良品計画の楽しさなんだと思います。質問の意図にパーフェクトに答えられているかは分かりませんが、そういう良品計画の中での過ごし方を今後もしていくことで、会社を大きくしていきたいなと思っています。

澤部:

ありがとうございます。では最後に、参加している学生のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

宝地戸:

宝地戸 健太

話を聞いていただいて本当にありがとうございました。世代だと思いますが、最近面接などで学生にお会いすると、「おとなしいな」と感じることがすごく多いです。バイトでもなんでもいいと思いますが、思い切っていろんなことに挑戦してほしい。傷つくことも含めていろいろと経験することが、結局は全部糧になります。損はしないです。そういう学生生活を過ごしていただきつつ、今回のイベントを通して良品計画で働く色々な人間の話を聞いて、私たちが思う会社の魅力に共感してくれて、結果的に一緒に働けるようになったらすごく嬉しいなと思っています。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。本当にありがとうございました。

澤部:

宝地戸さんありがとうございました。